企業の一部で採用されている企業型確定拠出年金、またの名を企業型DC。個人ではiDeCo。
新社会人の方で、就職した企業先の年金の運用が企業型確定拠出年金制度を採用している企業で、企業で開催された説明会で説明を聞いてもどの銘柄/商品を買えば良いのかよく分からなかったという方もいらっしゃると思います。
または、勤め先の企業がいきなり企業型確定拠出年金制度への運用に変更して、わけもわからず運用しなくてはならず、どの銘柄/商品にしようかと迷っている方も多くいらっしゃるかと思います。
私自身も、勤め先が2017年前後に企業型確定拠出年金の運用を始めたことで、自身で運用をかれこれ4~5年やってきていますが、運用し始めの頃は情報もあまりなく、投資に関する知識がなかったため、「リスク」をはき違えてしまい、意味のないと言わざるを得ない商品/銘柄に長い間投資し運用してしまい後悔したことがあります。
皆さんにもそのような後悔や失敗をしてほしくないため、私が実際に運用している三菱UFJ信託銀行を例に、企業型確定拠出年金のおすすめ銘柄/商品をご紹介していきたいと思います!
iDeCoや三菱UFJ信託銀行以外で運用している方にも参考になるような内容としています。
企業型確定拠出年金(企業型DC)/iDeCoにはどのような商品/銘柄があるか?
外国株式
世界全体の株式市場に投資できるファンド、先進国の株式市場に投資できるファンド、新興国の株式市場に投資できるファンドがあります。
価格の振れ幅(値動き)が他の商品/銘柄と比べて大きく上下するため、短期的には元本割れのリスクもありますが長期的にみれば大きなリターンを期待できます。
為替リスクがありますが、毎月長期積立が基本の企業型確定拠出年金では、為替相場の変動は平準化されるためあまり気にしなくても良いと思っております。
基本的にはこちらの外国株式のファンドをコアとして投資することを強くおすすめします。(ポートフォリオの50%~100%ほどの割合で投資することをおすすめします。)
関連記事:全世界・先進国・米国株式(全米/S&P)おすすめはどっち?違いは?
長期投資に新興国株式インデックスは不要?おすすめしない?【投資信託】
国内株式
日本国内の株式市場に投資できるファンドがあります。
価格の振れ幅(値動き)は、外国株式よりも穏やかです。
ただし、こちらも短期的には元本割れのリスクもありますが、長期的にみれば債券以上のリターン(利回り)を期待できます。
投資というものは、市場の成長に期待して投資していくものなので、日本の今後(少子高齢化/人口減/給与水準が数十年変わっていない等)を考えると、国内株式をコアの投資先とするよりもサテライト的に組み入れていく方が良いと感じます。
逆張りで国内株式をコアの投資先として投資する方も少ないですがいたりもします。
個人個人によってリスク許容度(どの程度元本が割れてもストレスなく投資を続けられるか)は異なりますので、外国株式よりも価格の振れ幅(値動き)が比較的優しい国内株式をコアの投資先として選んでも良いとは思っています。
また、為替リスクがなく、国内の経済/株式市場の動向を入手しやすい点はメリットですね。
外国債券
先進国の債券に投資するファンドや新興国の債券に投資するファンドなどがあります。
価格の振れ幅(値動き)は、株式と比べて穏やかで、ローリスクローリターンです。
なるべく安全に投資したい、そんな守りの投資をする方にはおすすめです。
なお、新興国債権は先進国債券と比べて価格の振れ幅(値動き)が激しく、リスクが高いため注意です。
国内債券
日本国内の債券に投資するファンドがあります。
非常に低金利であるため、(運用)コストとリターンが見合わない商品であると考えます。
そのため、私は国内債券の購入をおすすめしません。
J-REIT(国内REIT)
日本の不動産に投資するファンドがあります。
分配金利回り(配当利回り)が他の銘柄/商品に比べて比較的高いのが特徴ですが、値上がり益があまり見込めません。
そのため、株式のような高い売却益は見込めません。
この銘柄/商品をコアの投資先とするのは個人的におすすめはしません。
なお、私の勤め先では、そもそも「J-REIT」の取り扱いはありませんでした。
バランスファンド
今まで挙げた商品/銘柄などを、運用会社の決めた比率のもと運用するファンドです。
バランスファンド一つ買うだけで分散投資ができます。
ただし、コストとリターンが見合わない国内債券が入っていたり、国内株式(日本の株式のみ)と外国株式(日本を除く先進国や新興国の株式)の比率が同じ比率になっていたりと、金融リテラシーの高い人であれば「ん?」となるような比率で運用していたりします。
投資に対する自身の考えや運用方針がある程度ある方は、バランスファンドではなく、自身で組み合わせて運用していった方が良いです。
バランスファンドを選ぶにしても、どの銘柄/商品にどの比率で投資しているか確認したうえで、自身に合ったファンドを選ぶことをおすすめします。
詳細は以下に載せています。
関連記事:つみたてNISAでバランスファンドはおすすめしない?ダメ?いらない?
元本確保型商品
定期預金、生命保険といった商品があります。
超低金利なので絶対にこちらへ資金を割り振るのはおすすめしません。
投資を始める前の私もそうでしたが、日本国民の多くは、投資に対してネガティブな印象を持っており、「投資は胡散臭い、危険だ!」と思って、企業型確定拠出年金でも元本確保型商品に資金を割り振ってしまう方が非常に多いです。(私の勤め先でも4~5割は元本確保型商品を選択している始末です。)
この記事以外にも、関連記事に、金融リテラシーを上げられるような記事を多く掲載していますので、この機会に是非、投資に対する考えや意識を変化させていただければと思っております。
三菱UFJ信託銀行 企業型確定拠出年金/iDeCoおすすめ商品/銘柄
三菱UFJ信託銀行における企業型確定拠出年金のおすすめ銘柄/商品を以下にご紹介しますが、勤め先によって銘柄/商品は異なります。
また、iDeCoの方や他の金融機関で運用していると、「おすすめされている銘柄/商品がないよ!」、「同じような銘柄/商品で違うやつがあるんだけど!」という方がいらっしゃるかと思います。
そのような方は、次の大項目に記載する「銘柄/商品を選ぶうえでのポイント」も併せてご覧ください。
三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド
外国株式の一つです。
ベンチマークであるMSCIコクサイ・インデックス(MSCI-KOKUSAI)に連動する投資成果を目指して運用を行うファンドです。
非常に簡単に説明すると、先進国の株式市場を投資対象とするファンドですね。
おすすめする理由は以下の通りです。
- このファンド一本で先進国に分散して投資できているため、ある程度のリスク分散ができている点。
- 外国株式であるため、価格の振れ幅(値動き)は、国内株式や外国/国内債権、と比べると大きく上下するため短期的にみれば元本割れのリスクがあるものの、(過去を見ても)長期的にみれば経済の成長、発展とともに右肩上がりで推移していくことが見込めるため高リターンを期待できる点。
2021年現在、後述する「DCダイワ外国株式インデックス」よりも運用コストが低いため、こちらの投資をおすすめします。(運用コストの値下げなどの影響で場合によっては「DCダイワ外国株式インデックス」などの他ファンドの方が安くなる可能性もありますので運用コストは各自でご確認のうえご注意ください。)
こちらに100%ぶち込むか、85%~95%に落として後述する「新興国株式インデックス」を少し組み込んだポートフォリオがおすすめです。
DCダイワ外国株式インデックス
外国株式の一つです。
先ほどと同様、MSCIコクサイ・インデックス(MSCI-KOKUSAI)に連動する投資成果を目指して運用を行うファンドです。
MSCIコクサイ・インデックスに連動するため、価格の振れ幅(値動き)は「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」とほぼ同じです。
分散投資をする意味を勘違いしてしまっていると、「DCダイワ外国株式インデックス」と「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」の両方に投資して分散投資しよう!と思ってしまう方が出てきてしまいます。
これは大きな誤りで、ベンチマーク(や指数)が同じ銘柄/商品に投資しても分散投資にはなりません。
なぜなら、ベンチマーク(や指数)が同じということは、投資対象が全く同じであるということですので、例え、「DCダイワ外国株式インデックス」と「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」の両方を半々で投資したとしても、一つのファンドで投資したことと同じ結果になってしまうためです。
そのため、「DCダイワ外国株式インデックス」と「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」であれば、2021年現在、運用コストの安い「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」をおすすめします。
三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド
外国株式の一つです。
ベンチマークであるMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する投資成果を目指して運用を行うファンドです。
非常に簡単に説明すると、新興国の株式市場を投資対象とするファンドですね。
おすすめする理由は以下の通りです。
- 新興国は先進国と比べ人口が増加する国が多い。
- GDP成長率が高い。(GDPが高成長)
- 更なる経済の成長・発展に期待できる。
ただし、GDP成長率と株価には関連性はないと言われているため、GDPが成長するから株価が上がると思ってはいけません。
また、新興国の成長は、新興国のみが恩恵を受けられるものではなく、先進国も当然に恩恵を受けます。(日本やアメリカなどの先進国の企業が新興国で商品を売って利益をあげているのが良い例です。)
パフォーマンスについては、過去を遡ってみると、先進国株式インデックスよりも劣っており、チャートを見ても先進国インデックスのように右肩上がりというよりは上下に横移動するようなチャートになっているため、コアの投資先とするのではなく、サテライト的に組み込むのが良いと思います。
組み込むとしても、全体の5%~10%、多くても15%までにしておいた方が無難です。
総評(おすすめの配分/比率)
あくまで、私の投資比率、または投資するとしたらこの比率という考えを記載したものであり、株式のみの攻めの投資をご紹介しております。
各自リスク許容度があると思いますので、攻めの投資を行いたいと考えている方は参考までにご覧ください。
また、勤め先によって、銘柄/商品が多少異なる場合がありますので、次の大項目の「銘柄/商品を選ぶうえでのポイント」や関連記事を参考にしてください。
- 三菱UFJ DC海外株式インデックスファンドに、100%投資する。
- 三菱UFJ DC海外株式インデックスファンドに、85%~95%投資し、三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンドに5%~15%投資する。
- 三菱UFJ DC海外株式インデックスファンドに、75%~90%投資し、三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンドに5%~15%投資し、国内株式(Topixなどに連動のインデックスファンドまたは好きな国内株式)に5%~10%投資する。
商品/銘柄を選ぶうえでのポイント
- 運用コストが安い銘柄/商品(ファンド)を選択する
- 純資産総額50億円以上の銘柄/商品(ファンド)が安心
- インデックスファンド(運用スタイルで言うと「パッシブ」)を基本的には選択する
- 同じ指数(ベンチマーク)に連動するインデックスファンドを二つ以上買わない
- バランスファンドを二つ以上買わない
- 20代、30代、40代であれば株式中心の攻めの投資に!
- 元本確保型商品は基本的に選ばない
1.運用コストが安い銘柄/商品(ファンド)を選択する
インデックスファンドで、同じベンチマーク(指数)に連動する銘柄/商品が二つ以上ある場合は、運用コストの安い銘柄/商品を選択しましょう!
前の項目でご紹介した「三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド」と「DCダイワ外国株式インデックス」が良い例ですね。
銘柄/商品のベンチマーク(指数)の確認は、それぞれの銘柄/商品の運用報告書から確認できますし、三菱UFJ信託銀行であれば、「わたしの確定拠出年金サポートサイト」ログイン後のTop画面にある「運用商品お助けBOX」の「商品ライブラリー」にある「暴落率」のパーセンテージで「同じようなパーセンテージになっている銘柄/商品=同じベンチマーク(指数)に連動している銘柄/商品」と基本的に判断できます。
2.純資産総額50億円以上の銘柄/商品(ファンド)が安心
長期積立で安定して運用を行うにあたり、ファンドの純資産総額は気を付けるべきです。
先ほど、同じベンチマーク(指数)のファンドであれば運用コストが安い銘柄/商品を選択しよう!という話をしたばかりですが、運用コストが安くても純資産総額が50億円に満たなかったら、50億円以上の銘柄/商品を選択した方が良いです。
ファンドの純資産総額が少なすぎると以下のようなリスクがあります。
- 繰上償還(途中で運用がストップし、その時点での基準価額で払い出しされてしまうこと)
- 資産が少ないことで効率的な運用ができなくなりパフォーマンスが悪くなる
このようなリスクがあることから、一般的に純資産総額50億円以上のファンドが好ましいと言われております。
50億円以下のファンドに投資を行おうと思った場合は、短期のパフォーマンスだけでなく、長期のパフォーマンスや銃資産総額の推移などを運用報告書などで確認したうえで投資するのが望ましいです。
3.インデックスファンドを基本的には選択する
基本的には、インデックスファンドを選択するのが無難です。
ファンドには、インデックスファンドとアクティブファンドの二つがあります。
インデックスファンドは、指数(日経平均株価やTOPIX、MSCIコクサイ・インデックスなどの代表的な指数)に連動した投資成果を目指すよう設計されています。
企業・経済・市場の成長、発展とともに市場平均のリターンが期待できるため、インデックスファンドは投資信託でメジャーな銘柄/商品です。
アクティブファンドは、インデックスファンドと異なり、運用会社が良いと思った株を購入して、指数以上の投資成果を目指そうとするファンドです。
運用会社の目利きによるところが大きく、多くのアクティブファンドでは、インデックスファンドに最終的なリターンで勝てていないのが現実です。
また、インデックスファンドと比べてアクティブファンドは運用コストが高めの水準となっています。
基本的には、市場平均のリターンが得られ、かつ、運用コストが安いインデックスファンドを選ぶのが投資初心者には無難な選択です。
アクティブファンドでも良い銘柄/商品はあったりしますので、短期の実績ではなく長期の実績やパフォーマンスを確認したり、運用報告書などの内容を精査したり、また、比較チャートを用いてインデックスファンドと比較をしインデックスファンド以上のリターンを出しているファンドがあればそれを選択しても良いと思います。
4.同じ指数(ベンチマーク)に連動するインデックスファンドを二つ以上買わない
「同じ指数(ベンチマーク)に連動する=同じ国・株式市場を投資対象としている=同じ価格の振れ幅(同じ値動き)」ですので、二つ買う意味はありません。
異なる商品/銘柄(ファンド)を買えば分散投資またはリスク分散になるんだろ!と考えてしまっている方は要注意です。
無駄な運用コストをかけるだけですので、気を付けてください。
5.バランスファンドを二つ以上買わない
バランスファンドを選択する際は、自身の考えや運用方針とマッチしているバランスファンド一つだけに投資しましょう。
※運用報告書などで、組入比率(どの資産がどの程度の比率で入っているか)の確認できます。
バランスファンドの特徴は、バランスファンド一つで複数の資産に分散投資できる点です。
そのため、バランスファンドを二つ購入する必要はないと考えています。
なお、比率を自分好みにするため、バランスファンドとは別に、外国株式や国内株式などのバランスファンド以外の他の銘柄/商品を組み合わせて投資するのはありだと考えます。
6.20代、30代、40代であれば株式中心の攻めの投資に!
どうせ60歳になるまで取り出すことができないお金ですし、過去の実績では、積立期間が長ければ長いほど元本割れのリスクが低くなるため、若いうちはリスクを取って高リターンを狙える株式中心の攻めの投資とした方が良いと感じます。
短期的に見れば確かに元本割れのリスクはありますが、長期積立投資であれば、元本割れのリスクも少なく、市場・経済の発展とともに最終的に高リターンを期待できます。
そのため、外国株式を中心としたポートフォリオを組むと将来後悔しないと思います。
なお、運用方針や考え方、リスク許容度は人それぞれです。
元本が短期的に、かつ、一時的に1/2や1/3程度の金額になっても大丈夫!という方は外国株式中心の投資をおすすめします。
そうでない方は、外国株式の他に国内株式や債券を組み合わせるなどしてポートフォリオを組んだ方が良いですね。
7.元本確保型商品は基本的に選ばない
超低金利の時代ですので、ここに資産を入れるだけ損、勿体ないです。
元本割れのリスクが怖い、投資が怖い、投資信託は胡散臭いと考えている方や思っている方は、金融リテラシーを上げていただき、少しでも投資に対するネガティブな印象を払拭していただければなと思います。
そのうえで、せめて国内株式や債券への投資をしてみてはいかがでしょうか?
それらへの投資を通じて元本が増えていけば、そのうち自ずと投資に対する考えが良い方向に変わり、外国株式への投資もしてみようかなと考えが変わってくるはずです。
関連記事:投資(つみたてNISA,iDeCo,企業型DC)のリスクとしないリスク
おわりに
今回は、三菱UFJ信託銀行の企業型確定拠出年金を例に、おすすめ銘柄/商品、また、銘柄/商品選びのポイントを解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
私自身、企業型確定拠出年金の積立の際に、どの銘柄/商品を選べばよいか分からず、最初の選定に失敗し、気づいたときにスイッチング(銘柄/商品の入れ替え)などをして、最初の選定を後悔した経験があります。
新社会人の方や途中から企業型確定拠出年金に変わってしまった!という方は、どのような銘柄/商品を買えば良いのか分からない方が多いと思うので、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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